アディクトの優劣感

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原作者・池間了至VS脚本家・西永貴文

小出 西永さんの今年の予定をお聞かせいただけますか?

西永 5月に自分の劇団『猫☆魂』の第12回公演「耳zikan観」という舞台があります。池袋のシアターグリーンで5/14からです。新作の本公演というのも実は1年半振りで、新鮮な気持ちでやれるかなと。7月に小さい劇場で役者として出ます。5月に「アフタースクール」(内田けんじ監督・主演大泉洋)に出演させてもらってます。

あとは、「20世紀少年」(堤幸彦監督)に出て、10月にも『猫☆魂』があります。だから、役者を入れれば今年は5本くらいですね。

小出 「耳観」はどんな作品ですか?

西永 日本の近未来に対しての警鐘をならす舞台と言えるかなっていう。「携帯電話」をSFっぽく使う設定の物語ですね。携帯依存してる人多いじゃないですか。携帯がなくていらいらしたり。「耳観」では携帯が耳の中に入っちゃうんです。

小出 そういえば、池間さんも最近「携帯を折る」ていうコラム書いてましたよね。

池間 女の友達で男とケンカするたびに携帯折るようなやつがいて。

小出 男とのことを精算するようなつもりで折るんじゃないですかね。

池間 携帯を折るってすごく気持ちいいのかも知れないなって。

西永 「耳観」でやりたいのは、耳の中の携帯にメールが届くと、頭の上にメールが見えるっていう。

小出 必ず観に行きます。池間さんは今年はどんな活動になりますか?

池間 去年は「ヒノコの未知草」を初めて締め切りがある中で、携帯小説を書いたんで、今年は締めきり無しで、携帯小説と違って、長文で書きたいですね。「アディクト」は一人の死の話しですが、次は人類が全滅したところから始まる物語をやりたいですね。

小出 壮大な物語ですね。その映画化にはあと、10年ください(笑。


2008年3月26日 (六本木・フランジパニにて)


2008年4月、別の映画の仕事で初めて沖縄に行った。大学の後輩で那覇在住の比嘉君が行きつけのクラブに案内してくれた。そこはレゲェの、本当に小さなクラブだった。沖縄の離島をあちこち行き来している「島サーファー」やしまちゅ達がいた。DJブースの横にちょっととした本棚があり、ジャマイカや音楽の本が学級文庫のように置かれていた。
その中に、「アディクトの優劣感」を見つけた。
沖縄の、こんな小さなクラブでどっかの誰かがタバコを吸いながら、アディクトを読んでいる。そんな光景がすぐに浮かんできた。
本当にいいものは商業的な宣伝をしなくてもゆっくり伝わっていくものだ。でも、映画を作ったことで、露出も多くなり、手に取る人が増えたのは嬉しいことだ。東京から遠く離れ、沖縄の地での、アディクトとの邂逅は『誰かにメッセージを伝え続けること』の醍醐味を改めて感じさせてくれた。


脚本・西永貴文ビデオレター(金沢 シネモンド)


監督・藍河兼一ビデオレター(金沢 シネモンド)

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